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映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のあらすじ・感想レビュー:この映画、世界観全てがMAD!

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の映画情報

マッドマックス 怒りのデス・ロード上映日:2015年06月20日
製作国:アメリカ
上映時間:120分
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STORY

資源が底を突き荒廃した世界、愛する者も生きる望みも失い荒野をさまようマックスは、砂漠を牛耳る敵であるイモータン・ジョーの一団に捕らわれ、深い傷を負ってしまう。そんな彼の前に、ジョーの配下の女戦士フュリオサ、全身白塗りの謎の男、そしてジョーと敵対関係にあるグループが出現。マックスは彼らと手を組み、強大なジョーの勢力に戦いを挑む。

TRAILER

REVIEW

この世界観、このカーアクション、この迫力、何をとっても"MAD"です!!!冒頭からラストまでずーっとクライマックスシーンを観ているような感覚の120分は、息つく暇はありません。

子供時代に観たマッドマックス3部作から30年たっての続編です!パート1からはストーリーを継ぎ、パート2はカーアクションを継ぎ、パート3は世界観を継いだと個人的には感じており、過去作全てを無駄にせず生かしたパーフェクトな続編であります。アクションは現代技術を駆使しつつも、CGは使わず生スタントにとことんこだわった、傑作としか言いようがない出来栄えでした。

昔の3部作を知っている身としては、観る前に一番心配していたところとして、当然ながら主人公マックス=メル・ギブソンという印象を強く持っていました。本作は、『ダークナイト ライジング』のベイン役であったトム・ハーリーが演じましたが、心配は何のその、豪快かつ強いマックスとして名前負けせず見事に演じ切っていました。正直、主役の役者が変わった違和感全くありません。

さて、映画自体の評論ですが…。おっと、この作品を評論しようという、ヤボなことはしてはいけないですね!なぜなら、99%アクションを楽しむ映画だからです。

もー、悪役たちの容姿といい、改造車といい、攻撃といいなんて楽しいのでしょう。まさに北斗の拳の世界です!

そして、みーーーんな狂ってます。"MAD"です!

ボスの容姿も"MAD"

改造車も"MAD"

ギター弾きながら炎なんてびっくりキャラも登場!
(監督いわく、この映画はロックだ!を表現したかったとのこと)

とにもかくにも、この映画を27年ぶりに製作した、御年70歳の、ジョージ・ミラー監督が一番"MAD"なことは間違いありません!撮影話では何度も何度も、悪条件が重なり延期に延期を重ねたというエピソードもあるようですが、よくめげないで完成させてくれました。

さらに本作は、モノクロ(白黒)映像でも上映されました。オリジナル版はまさに映像美も含めての鑑賞となりますが、モノクロ版は情報量を抑えより世紀末感を感じることができる仕上がりになっています。

監督のこだわりやマッドマックスにたいする強い愛情がひしひしと伝わってきますね。監督是非続編も作ってください!(長生きしてくださいね!)

INFORMATION

英題 Mad Max: Fury Road
製作年 2015
監督 ジョージ・ミラー
製作 ダグ・ミッチェル
ジョージ・ミラー
出演者 トム・ハーディ
シャーリーズ・セロン
ニコラス・ホルト
ヒュー・キース=バーン
ゾーイ・クラビッツ
ライリー・キーオ
配給 ワーナー・ブラザース映画
受賞歴 アカデミー賞編集賞・美術賞・他4部門
リンク 公式サイト

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「ムカデ人間」のあらすじ・感想レビュー:つ・な・げ・て・み・た・い!

「ムカデ人間」の映画情報

ムカデ人間上映日:2011年07月02日
製作国:オランダ/イギリス
上映時間:90分
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STORY

ヨーロッパを旅行中の2人の美しいアメリカ人女性。車で移動中、ドイツの森の中で突然タイヤがパンクし、助けを求めてさまよった2人は、一軒の大邸宅にたどり着いた。次の日、目覚めるとそこは地下に作られた病室のベッドの上。隣には彼女たちと同じように、日本人男性が寝かされている。家の主であるドイツ人男性は、かつてシャム双生児の分離手術を専門とする外科医だったという。だが、彼の新たな3人の“患者”たちは、恐るべき手術によって、“分離”ではなく“結合”されようとしていた。

TRAILER

REVIEW

 

つ・な・げ・た・い。
つ・な・げ・て・み・た・い。
人間の肛門とお口。

ついに、禁断の映画を出してしまいました・・・。

こんな映画を考える監督はもぅお馬鹿としか言えません。そして、観ている自分もお馬鹿です・・・。ん!?あ、いや、いやそれが意外にも悪くなかった!!!汗

そりゃ、つなげるシーン、つながっちゃったシーンは悲惨ですよ。どんな凶悪な犯罪より罪深いですよ。生き地獄としか言いようが無い・・・。1番目はまだいいですよ。2番目、3番目なんて、う○ち・・・(自己規制)

もちろん実際そのシーンはありますが、意外とゲロさはなくコミカルに描いてます。

悪くなかった理由は、重々しくなくちょっぴり笑えてしまう作りになっているからでしょう。その立役者は、なんと言っても北村昭博の存在。日本のヤクザとして誘拐されムカデ人間先頭に大抜擢ですが、まぁ日本語でわめくわめく!海外の映画なのに、日本語以外使いません。この史上まれに見る異常な映画を彼がハードルさげて観やすくしてくれたんだと。

ただし、元シャム双生児の分離手術を専門とする外科医ハイター博士の狂気っぷりはすごいの一言!

双生児分離手術の権威だからこそ生まれた逆発想の人間をつなげたい感情。といっても、性犯罪などの心理と全く同じで、性癖の向かう方向が間違っているんですよね。変に天才な分だけたちが悪いです。何が何でも、つなげないと気が収まらないんです。つなげてペット化したい欲求、言うことを聞かせたい欲求など、完全に自己満足の世界観・・・。

ラストは、前後が死ぬというどうしようもない結末なんですが、繋がれたままの真中の女の子はどうなるってしまうんだろう。。。

はい、全くお勧めはしない映画です!ただグロイシーンなんてのも、ほんの一部(手術シーンのみ)だけです。

ちなみに、ムカデ人間シリーズは3部作です。2作目は12人つなげちゃいます!そして一気にグロ路線へ変更されます。題材が題材だけに、プラスグロいれちゃったばかりに、世界各国で上映禁止続出となりました。そして3作目は500人つなげちゃいます。はい、やっぱりこの監督、お馬鹿だと思います。

INFORMATION

英題 The Human Centipede
製作年 2009
監督 トム・シックス
製作 イローナ・シックス
トム・シックス
出演者 ディーター・ラーザー
北村昭博
アシュリー・C・ウィリアムス
アシュリン・イェニー
配給 トランスフォーマー
受賞歴 -
リンク -

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映画「見えない目撃者」のあらすじ・感想レビュー:視力を失った元警察官が犯人を追い詰める!

「見えない目撃者」の映画情報

見えない目撃者上映日:2019年09月20日
製作国:日本
上映時間:128分


 

STORY

浜中なつめは警察学校の卒業式の夜、過失で弟を事故死させ、自分の視力も失う。警察官になることを諦めたなつめはある日、自動車事故の現場で少女が助けを求める声を聞く。誘拐事件を疑ったなつめは警察に訴えるが十分に捜査してもらえず、自ら動き出す。

TRAILER

REVIEW

2011年の韓国映画「ブラインド」を日本でリメイクとなっております。オリジナルは未鑑賞で予備知識なしで映画館鑑賞でした。

サスペンススリラーとして王道かつ飽きさせない出来でした。猟奇的な連続殺人気に犯人は誰なのか?その動機はという謎解き要素もあり、警察が案外無能でわからずや組織で有ったりとこれまでもよくあるストーリーです。

しかしながら、本作が面白ところは犯人を追うのが視力を失った元警察官(なつめ)という設定です。どうやって盲目で犯人を追い詰めていくのか?という部分が非常に面白く、盲目だからこそ通常の人より嗅覚・聴覚がすぐれ犯人をつきとめていく展開が見事であります。そして元警察官という設定に関してもしっかり活かされています。

なつめ演じるのは吉岡里帆ですが、今までは可愛い系やヒロイン役が多く男性ファンは多く女性からは敬遠されることが多かったのですが、本作で新たな彼女の魅力が開花したのではないでしょうか。自分のせいで弟と視力を失った絶望の淵から、犯人を捕まえるという希望を持ちたくましく挑む役柄や視力ない演技(目の黒目視点が見事)が、すばらしくまさに熱演といった感じです。しかも、ほぼほぼすっぴんで挑んでますからね。

ただ本作でもったいないなぁと思えるところは、後半になればなるほど、現実味離れしすぎてしまっているところです。例えば、なつめが犯人に追われるシーンでは他人と会わなすぎですし(駅中で誰も会わないのはあり得ない)、犯人自身も追い詰められている割には主人公たちを殺せる機会が何度もあるのに、中途半端なまま生かしてしまい自ら次の展開に持ち込む気満々な展開です。物語を進行する上での無理やりな設定を作り込んだ感が見え隠れし、もう少しどうにかできなかったのかなぁっと思った次第です。細かい部分ではありますが案外大事だと思うんですよね。

とはいいつつも、リメイクではありつつも日本のオリジナル要素を結構入れ込んでいるようで、久々日本映画で良質で面白いと思えるサスペンススリラーの映画が誕生したと思いますし、すでにオリジナル版を超えたとまで言われています。えー、この人死んでしまうの!ってな展開もあり意外感もありますし。

また、鑑賞前はなぜレーティングがR15+(15歳以上しか鑑賞できない)なんだろうと思っていましたが、しっかりグロめなシーンがあります。吉岡里帆=清楚系というイメージが余にも強すぎて、先入観先行しまさかグロありとは思いもしなかったです。ただ、そこまで強めのグロではないため、耐性が無い方でも問題なく鑑賞は出来ますので、ご心配なく。

恐らく映画の面白さ度合いは、人によって違うと思いますが、間違いなく面白くなかったという意見はほとんど出ない映画ではないかなと思いますので、楽しめることは間違いなしです。

INFORMATION

題名 見えない目撃者   
製作年 2019
監督 森淳一
脚本作 藤井清美
森淳一
出演者 吉岡里帆
高杉真宙
大倉孝二
浅香航大
松大航也
國村隼
配給 東映
受賞歴 -
リンク 公式サイト
見えない目撃者 (小学館文庫)

見えない目撃者 (小学館文庫)

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映画「ファニーゲーム」感想・レビュー:一番怖いのは人間だ!

 

ファニーゲーム

ファニーゲーム

「ファニーゲーム」映画情報

あらすじ

別荘へと訪れたショーバー一家。そこへペーターと名乗る若者がやって来る。礼儀正しい態度を見せていたペーターだったが、もう一人パウルが姿を現す頃には態度は豹変し横柄で不愉快なものとなっていた。やがて2人はゲオルグの膝をゴルフクラブで打ち砕くと、突然一家の皆殺しを宣言、一家はパウルとペーターによる“ファニーゲーム”の参加者にされてしまう。

予告編

作品データ

原題 Funny Games
製作年 1997年
製作国 オーストリア
上映時間 103分
監督 ミヒャエル・ハネケ
製作 ファイト・ハイドゥシュカ
脚本 ミヒャエル・ハネケ
メインキャスト スザンヌ・ロタール
ウルリッヒ・ミューエ
フランク・ギーリング
アルノ・フリッシュ
ステファン・クラプチンスキー
受賞歴 カンヌ映画祭コンペティション部門出品
シカゴ国際映画祭最優秀監督賞


 

「ファニーゲーム」映画解説

だいふく

ミヒャエル・ハネケ監督の問題作映画の紹介だニャ!

作品解説

カンヌ国際映画祭で、そのあまりに衝撃的な展開に途中で席を立つ観客が続出し、ロンドンではビデオの発禁運動まで起こった、衝撃の問題作です。

犯人が映画を鑑賞している観客に時折サインを見せたり、語りかけてくるメタ演出なども特徴的で、鑑賞者が一緒に犯罪を犯しているような気分にもなってしまう。

2008年には、ミヒャエル・ハネケ監督自身がハリウッドリメイクした『ファニーゲーム U.S.A.』が公開されています。

関連作品

※タイトル後に外部リンクアイコンがあるものはAmazonに飛びます。

【リメイク】

ファニーゲーム U.S.A.

暴力がテーマ

ミヒャエル・ハネケ監督の作品を観てきましたが、この『ファニーゲーム』を観た時は、他の作品とは全く違う印象を受けました。本品から伝わってくるものは"暴力"でしかなかったのです。

そして、ハネケ監督のインタビューはこうである。

「なぜ人々がこの映画に憤慨するかははっきりしている。私は憤慨させるために作ったからだ。暴力は撲滅できないものであり、痛みと他人への冒涜であることを伝えたい。だから、暴力を単なる見世物ではなく、観終わった後に暴力の意味を再確認するものとして描かなければならない。」

暴力しか感じなかった映画ですが、結局は、それは監督の狙い通りだったのです…。

「ファニーゲーム」感想・レビュー

結末が予測できるネタバレ度

私はホラー映画が好きです。でもあんまり怖いと感じることはないのです。理由はモンスターもゾンビも幽霊もそれは現実でない作り物だから。でも、映画の中で一番怖くて苦手なものは、人間の恐ろしさです。それは現実でも起こりうる世界なのですから。

 

そんな観客が不快に思うような作品を、喜びのように感じて作る変態オヤジがミヒャエル・ハネケ監督です。そして本作は監督の作品の中で最も問題作といわれております。余りにも理不尽な暴力を描いているため、観終わった後の憂鬱度はかなりなものに…。

ハネケ監督の映画を観る前は相当な覚悟と準備が要ります。そして、鑑賞中はずーっと苦痛なのです。ではなぜ観てしまうんでしょうか。それが自分でも分からない…。そうなんです、すでに監督のマジックにかかってしまっているんです。

 

オープニングでは、仲むつましい家族が車で曲当てゲームをしながら別荘に向かい、ほのぼのシーンから始まります。が、一転FUNNY GAMESというタイトルが出て、荒々しいロックの曲に変わり、冒頭から作品の異常感が伝わってくるのです。すでに、いきなり嫌な予感満載です…。

 

別荘で、ヨットの準備や料理を作って楽しい時間をすごしているさなか、一見おとなしめの若者ペーターが卵を貰いにやって来る。さらに彼の友人パウルも家にやってきた。その瞬間から一家は一方的に理由の無き、"殺人ゲーム"の標的とされます。12時間後に一家が死んでいるか、生きているかという理不尽な賭け。

ファニーゲーム

あまりにも身勝手で残虐極まりない犯人達には、憎しみと吐き気しか覚えません。犯人の憎たらしい顔(この俳優は、同監督作品の『ベニーズビデオ』でも憎い役を演じてます)、馬鹿げた発言、卑怯なやり口、全てにおいて嫌気を覚えさせられることでしょう。

 

さらに犯人達は映画を鑑賞ている我々があたかも共犯者のように、話しかけてきます。

「おい、お前もこのゲームを楽しんでいるんだろう?」

と言わんばかりに・・・。

 

犯人の最初の標的は子供。ドカンとショットガンの音が聞こえたかと思うと、あたりには血が飛び散り、床には血だらけの子供の死体。残酷にも、子供は父母が見ているその前で殺されてしまうのです・・・。

犯人は逃げだします。生き残ったのは夫婦二人、動から静へしばらく夫婦の精一杯の生への執念が静かに静かに繰り広げられるのです。父ゲオルクの足の骨が折れていても妻と二人で協力して歩く姿、必死で濡れた電話を乾かそうとする姿、希望を持ち外に出て助けを探す姿、残されたもののいたいけな頑張りが涙ぐましくも表現されています。

ファニーゲーム

 

でも、監督は意地悪極まりない。よりによって助けを求めた車の運転手が犯人達だなんて。ひどい、ひどすぎる…。転々と転がるゴルフボール。そこには、希望はなく絶望しかなかった。

「ゲーム再開!!!」

・・・もう、書くのも嫌になる光景がラストまで続きます。

そして、なに?あのビデオテープ巻き戻し???ありえなさ過ぎる・・・

だいふく

観終わった後、嫌な気分しか残らない映画ニャ…

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映画「冷たい熱帯魚」のあらすじ・感想レビュー:実在事件をでんでんの驚異の破壊力で描く!

「冷たい熱帯魚」の映画情報

冷たい熱帯魚上映日:2011年01月29日
製作国:日本
上映時間:146分
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STORY

小さな熱帯魚店を営む社本の家庭では、年頃の娘が若い後妻に反発しており、そのため彼と妻との関係にも亀裂が生じていた。そんなある日、彼は娘が起こした万引き事件をきっかけに同業者の村田と知り合う。やがて村田の事業を手伝うことになった社本は、いつしか恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく。

TRAILER

REVIEW

 

ホラーを超えた、恐ろしいまでの作品が産まれました!

本作品は、数々の映画賞を受賞しています。園子音監督自ら最高傑作と話しています。が舐めてはいけません。めちゃくちゃグロイです、めちゃくちゃ怖いです、めちゃくちゃ後味悪いです、めちゃくちゃ辛いです。でも、この世界観、最後までどっぷりのめりこんでしまい途中で絶対やめられない。すごい!この映画、この映像。

もちろんR-18指定です。なんたって人間解体シーンが出てきます。確かにグロいのです。でも、それ以上に人間の弱さ、愚かさ、怖さの方の描写が断然に深く、映像以上に印象に深く突き刺さってくるのです。

でんでん演ずる村田の悪役っぷりがもの凄い!(でんでんの演技が凄すぎる!) 話術、説得力そんでもって強制力!言葉、表現力がこれほどまでに犯罪の武器になるとは。一見やさしくお人よしにしゃべる村田、しかしそれは自己中心で地獄への道しるべ。人を殺すことなんかお手の物!楽しんで人間を切り刻んで抹消し、魚に食べさせてしてしまいます!死体が出て来なければ犯罪にはならないのですから!!!

一方、吹越満が演じるは、前妻との子供を残し再婚したが全く会話も無い冷めた生活を送る社本。自分の意思も持たず、断ることも出来ない一家は格好の村田の餌食に。いつの間にか共犯者とさせられた男の行き着く先は・・・。開き直った人間はここまで変われるものなのかと感じてしまいます。

いい意味で期待を裏切られ続ける展開は、先がどうなるかも全く予想できません。どれだけ残酷な結末になるんだろうと不安を抱きながらラストまで突っ走り続けるしかないです。約150分の長丁場ですが、全くだらけさせてくれず、緊張感で息を呑み続けないといけないのです。

こういう映画にエロシーンはつき物ですよね。いわゆるエログロと言われるもの。このシーン必要なのか?って思わせる、いわゆる客寄せ的なエロシーンと感じることが多いのですが、本品には必要不可欠でした。人間の欲望を描くだけではなく、愚かさまで描ききります。個人的には、グロいシーンよりもむしろエロシーンの方が強烈に嫌悪感を感じ、後味を悪くさせました。

特に、黒沢あすかが演ずる村田の妻としての生き様が強烈でした。強い男に惹かれ、裏切る姿がむなしさすら感じてしまう。ラストの彼女の生き様は、同情すら抱いてしまうのです。愛してくれる男を裏切った。しかし最後は愛してくれる男に行き着いた。行き着いた先がまた強烈…。

1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件を参考とした物語で、園子温監督による実際の事件をベースとしたシリーズ「家賃3部作」の第1作目です。他2作品は『ヒミズ』『恋の罪』となりますが、他も衝撃的な作品となってます。

っていうか、実際にあった事件なんだね・・・。

INFORMATION

英題 COLDFISH
製作年 2010
監督 園子温
製作 杉原晃史
出演者 吹越満
でんでん
黒沢あすか
神楽坂恵
梶原ひかり
渡辺哲
配給 日活
受賞歴 日本アカデミー賞 最優秀助演男優賞
報知映画賞 監督賞&最優秀男優賞
ブルーリボン賞
他多数
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映画「食人族」のあらすじ・感想レビュー:POVの原点にして、完璧なフェイク映画!

「食人族」の映画情報

食人族上映日:1983年01月15日
製作国:イタリア
上映時間:95分
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STORY

人肉を食べる〈食人族〉が生棲するという南米ブラジルとペルーの国境、アマゾンの上流の未開発地に探険に赴いたアメリカ人四人グループが残したショッキングなフィルムと、新たに撮影された原地人の非文明的な行動を構成したドキュメンタリー。

TRAILER

※かなり衝撃的な予告ですので、閲覧注意です。

REVIEW

この映画を選んでしまいすみません・・・。

でもこれ、すごい映画なんですよ!

ホラーやグロい映画は、これまでにどれだけ観てきたか分からないのですが、本作を観たときは正直度肝を抜かれました。見終わった後の、気分の悪さは相当凄かったです。1983年製作でCG技術も無いこの時代の作品なのに、非常にリアルなのです・・・。

それもそのはず、『REC』『クローバーフィールド』『パラノーマル・アクティビティ』などに代表される、“POV(Point of View Shot)”という、いわゆるカメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークの手法がありますが、POVの最初は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と思っていませんでした???実は、POVの原点は『食人族』なのでした!

この時代の人々にとって、POVなんて技術知る由もない。16ミリカメラで撮影されている上、完全にドキュメンタリー映画として宣伝されていたので、当時の人々は真実の映像としてとらえてしまったのです。もちろんフィクションでありフェイク映画ですが、インターネットなども普及仕切っていない時代に、残酷映像なんてものに耐性がない人々が映画館で観たと思うだけで…。

もちろん今観ても非常にリアルなのですが、特に一番気分を害したところは、亀の解剖です。なんでも本物を使用しているらしく、亀の内臓を生で役者が食べるシーンあります。本国イタリアでは、動物愛護団体からのクレームにより上映禁止まで食らっているのです。ちなみに監督談ですと解剖した亀は、おいしくいただいたとのこと…(いやいや、そこじゃないでしょ!!!)

ジャケット写真にも出てくる、超有名シーンの女性が串刺しにされている場面があります。あまりのリアルさに当時は本物と信じて疑わない人が多発したとのこと。しかし現実は自転車のサドルに腰かけた女性に発砲スチロールの木をくわえさせただけらしいです。ネタをばらせばなんでもないんですが、信じる人が出るほどの素晴らしい技術なんですよね!

この映画のイカレっぷりは、単にリアルなグロ映像だけでないんです、一番の気分を害した理由は撮影しているレポーター達の残虐さです。撮影にリアリティーを出すため嘘の演出を入れるのです。民族同士の戦いと見せかけ民族が居る家を焼き払い嘘の戦いを作る、妊娠中の女性の子宮を切り取ることを強制的に実行させる、老婆をワニの餌にする、しまいには民族の女性を強姦し木で串刺しにしてしまうのである。これには、気分を害さずには居られないです。挙句の果てには、仲間が食人族に捕らわれ、喰われる様子もしっかりちゃっかり撮影・・・。

そしてこの暴挙の途中にかかる音楽が心にしみわたる優しい名曲 !

ん、ん、ん???優しい名曲???

待って待って!このシーンでなぜほっこり曲!?

これには監督の悪意が感じます。YouTubeに曲がありましたが、聴いてみてください!めちゃくちゃ良い曲なのですが、曲の使いどころ間違っている。。。

さて、ここまで色々書いてきましたが、どうしょう?読んだだけでも気分悪くなりません?これをリアルな映像で流し続けるのでたまったもんじゃなありません。ジャングルに住んでいる民族と現代人のどっちが野蛮かはっきりしますね。

ちなみに銃殺刑のフィルムが上映されるのですが、映画の中ではニセモノ映像として説明されてます。が、この映像は実は本物の映像とのことです。、ニセモノ映画自体を本物ドキュメンタリーとし本物の処刑シーンをニセモノ映像として紹介するあたりが、この監督の奇才さ(裏を返せば悪趣味さ)が伺えます。

冒頭にも言いましたが、とにかく凄い映画です。80年代の技術で観た人を本物と信じ込ませた、ある意味 ルッジェロ・デオダートー監督は天才じゃないかと思えます。悲しいかなその才能は、ジャンルがジャンルだけに当時は全く認められていなかったのは事実。ただ、今ではマニアファンが多く上映イベントが開催されることもあり、イベント時は人気で入りきれない現象まで起きるほどです。

ただし、ホラーやグロや残虐映像に耐性がかなりある人以外は、確実に手を出してはいけない映画です。現代のグロ映画が大丈夫な人でもレベルが違いますから、手を出す方は気を付けてください!!!自己責任で(笑)

INFORMATION

英題 Cannibal Holocaust
製作年 1980
監督 ルッジェロ・デオダートー
製作 ジョヴァンニ・マッシーニ
出演者 ロバート・カーマン
フランチェスカ・チアルディ
ガブリエル・ヨーク
ペリー・ピルカネン
ルカ・バルバレスキー
エリカルド・フュエンテス
配給 20世紀フォックス
受賞歴 -
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映画「Diner ダイナー」のあらすじ・感想レビュー:ようこそ 殺し屋専用の食堂ダイナーへ!

「Diner ダイナー」の映画情報

Diner ダイナー上映日:2019年07月05日
製作国:日本
上映時間:117分


 

STORY

元殺し屋の天才シェフ、ボンベロが店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」。日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコは、ボンベロに買われウェイトレスとして働くことに。ボンベロが「王」として君臨するダイナーには、全身傷だらけの孤高の殺し屋スキンや、子どものような姿をしたサイコキラーのキッド、不気味なスペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者のブロら、ひと癖もふた癖もある殺し屋たちが次々とやって来て…。

TRAILER

REVIEW

私の大好きな平山夢明の小説「Diner ダイナー」の映画化ということで、映画化発表当時からとても期待してました。原作では残酷描写と暴力に満ち溢れた血なまぐさい小説なのですが、蜷川実花ということで自ずと原色をふんだんに使った芸術的な映画に仕上げてくるということは分かりますが、まず小説と性格的に相反していないのか?という心配と期待と半分半分な気持ちで鑑賞しました。

で、率直な感想は、改めて小説のストーリーが素晴らしいと実感してしまいました。ん?なぜ小説側ってなると思いますが、映画は割と小説に忠実に作っているのですが、やはり奇抜な物語が故に飽きさせないんですよね。殺人鬼たちの中に一人のか弱い女性という大筋がありつつ、殺し屋たち1人1人の個性的な物語が素晴らしく面白いのです。その面白いストーリがあってこそ、芸術的な蜷川映画が成り立った気がします。当初、小説と映画が相反すると思っていたのですが、案外組み合わせの相性良かったのでは!?と思えるできばえでした。

ただ、やっぱり原作ファンとしては色々と残念と思うところはあります。まず藤原竜也演じるボンベロが余りにも優しすぎますね。小説ではもっと怖くて異常なイメージでしたので、映画では凄みが感じられないところは残念でした。

もう一つは映画という短い時間で描く必要があったのでしょうがないかもしれませんが、登場する殺人鬼が少ないんです。Dinerの面白いところは個性的な殺人鬼たちなのでもう少し多く登場させてほしかった。最悪でもボンベロの弟子であった女性の殺し屋である炎眉(無礼図の姪)は登場させてほしかったなと思います。

殺し屋の登場が少ないと、やはり描き切れていない部分がありまして、映画ではボンベロとオオバカナコがあまりにも急激に親しくなりすぎているんです。ボンベロがオオバカナコに好意を寄せる瞬間が全く理解できない(ただのウエイトレスコスプレ好きボンベロちゃんみたいになっている!?)のですが、色々な殺人鬼たちとのドタバタを経て、徐々にボンベロとオオバカナコに信頼感ができ心を開いていくその過程が面白く、映画ではその部分の描きが物足りないですね。

オオバカナコを演じるのは、玉城ティナです。いや~細い細い。あのウエイトレスの姿はちょっと殺し屋専用のダイナーとしては、あり得ないですが(ボンベロがあれを選んだと思うと…笑)、そこは抜きとして難しい役柄ではありながらも頑張っていたんではないでしょうか?スキンの事件の後のボンベロに食い下がるシーンも見ごたえありましたしね。今後女優さんとしても期待できる気がしますね。なんだか小松菜奈が映画『渇き。』で女優として登場した時と少し重なります。

他のキャストはちょっと使い方もったいないかなぁって印象です。マテバ役の小栗旬は登場少ない(小説も登場時にマテバは死んでいますが)、マリア役の土屋アンナはあっけないっという感じで、この二人もう少し活躍させても良かったと思います。

なんだか小説推しのレビューになってしまいましたが…映画館は若い女性が多く観に来ていました。平山夢明のグロ小説がメルヘン映画に変貌したような映画ですが、その分万人が安心して観れる映画に仕上がっていますね。(個人的にはR指定でド派手にやらかしてほしかったけどね!)

INFORMATION

題名 Diner ダイナー
製作年 2019
監督 蜷川実花
原作 平山夢明
出演者 藤原竜也
玉城ティナ
窪田正孝
本郷奏多
武田真治
斎藤工
配給 ワーナー・ブラザース
受賞歴 -
リンク 公式サイト
ダイナー (ポプラ文庫)

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DINER ダイナー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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映画「サスペリア(2018)」のあらすじ・感想レビュー:オリジナルを大胆に別物に変えたリメイク!

「サスペリア(2018)」の映画情報

サスペリア上映日:2019年01月25日
製作国:イタリア・アメリカ合作
上映時間:152分
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STORY

1977年、ベルリンの世界的舞踊団に入団するため、米ボストンからやってきたスージー・バニヨンは、オーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大きな役を得る。しかし、マダム直々のレッスンを受ける彼女の周囲では不可解な出来事が続発し、ダンサーたちが次々と謎の失踪を遂げていく。一方、患者だった若きダンサーが姿をくらまし、その行方を捜していた心理療法士のクレンペラー博士が、舞踊団の闇に近づいていくが…。

TRAILER

REVIEW

オリジナルは最も美しいホラー映画と言われた、ダリオ・アルジェント監督の傑作ですが、本作は完全に別物な作品に仕上げられています。オリジナルの原色の色彩や興奮を書き立たせる音楽は全く引き継がずです。魔女というキーワードは同じですが、本作では不気味な"儀式"がテーマとなっています。広告動画でサスペリアと読み上げる前に、うっすらとマザーと聞こえますが、キーワードということが映画を観ることで明確になります。

世間の評価は賛否両論で真っ二つに分かれるのですが、個人的な感想を先に述べますと、私は"否定派"です。だって、あのホラー映画の傑作のサスペリアですよ!?芸術性や独特な雰囲気あってこそのサスペリアです。それを無くしてしまい、さらに物語のテーマですら捻じ曲げてしまっては、全く別物の映画で、単に名前を借りたかっただけの気がしてしまうのです。リメイクではなく単なるカルト映画にしか見えなかった。

監督も『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノですから、う~んここにきて、なぜホラーでサスペリア?となってしまうんです。できれば、サスペリアのリメイクはホラー映画監督で名をはせている方に作ってもらいたかったです。

映画自体ですが、オリジナル以上に意味が分かりません。まず心理療法士のクレンペラー博士の存在ですが、重要なキーマンかと思いましたが、結局何をしたかった(何をしてあげた)かが分からない。スージーの母親の病気も意味深のようで意味不明、劇団スタッフ?のか弱そうな女性の急な自殺も意味不明、ラストの儀式も意味不明。なんだかちんぷんかんぷんです。ちょーっと細かい部分も言うと、途中のシーンでスージーが机から何かを盗むシーンがありますが、あれも最後まで何も影響せずで意味不明…。なんか散らかすだけ散らかして掃除をせずに終わった気がして、何とも消化不良です。

では、ホラーとしてはと言いますと、怖いよりグロいです。冒頭のスージーがダンスによりダンサーが人体破壊されていきますが、いきなりグロさ全開です。最後の儀式もかなりグロさを表に出しています。ただし視覚的な恐怖はあるのですが、オリジナルに見られた精神的に来るドキドキ感は感じられないのです。

ということで、色々がっかりすることが多かったですが、良かった部分もありますよ。

まずオリジナルでは取り入れられていない、ダンスシーンがふんだんにあります。スージーを演じるダコタ・ジョンソンの魅力もふんだんに表現されています。儀式としてのダンスとなるため、その異様さや迫力もしっかり表現しつつもセクシーさもあります。監督自身ダンスを重要視したと言ってますので、その通りな仕上がりでした。

も一つ、嬉しい部分は、オリジナルのヒロインである、ジェシカ・ハーパーの出演です。正直出演のさせ方は無理やり感があるのは否めないですが、お年を取られても表情や演技は変わりないですね。またサスペリアでお会いできるとは感動であります。

新旧ヒロインに注目すると、ジェシカ・ハーパーは静的なかわいさ、ダコタ・ジョンソンは動的な美しさ、といったところでしょうか。お二人おきれいですが、全く質が違う美しさですね。

この映画、俳優さんもかなり豪華なんですよね。主役級の女優ティルダ・スウィントンとクロエ・グレース・モレッツが脇を固めます。といっても、ん?クロエちゃん出てた?って思う方もいるかもですね。というか・・・クロエちゃん何やっているんですか!立派な女優になられたんですから、少しは仕事選んだ方がいいです。冒頭では精神的におかしい姿で、後半では見るも無残なグログロなお姿で…。クロエちゃんファンとしては、彼女がヒロインでも良かった位なのに…。(キャリーでホラーの実力もあることは証明してますし)

ということで以上が感想ですが、あんまり否定的なレビューは書くことはなのですが、余りにもオリジナル愛が強すぎるので今回はしょうがないレビューと思っていただければ。映画としてはグロさ満載で、ホラー好きには楽しめると思います。何度もいいますが、サスペリアリメイクとして見てしまうと、がっかりな内容でした。

INFORMATION

英題 Suspiria
製作年 2018
監督 ルカ・グァダニーノ
製作 マルコ・モラビート
ブラッドリー・J・フィッシャー
出演者 ダコタ・ジョンソン
ティルダ・スウィントン
ミア・ゴス
クロエ・グレース・モレッツ
ルッツ・エバースドルフ
ジェシカ・ハーパー
配給 ギャガ
受賞歴 -
リンク 公式サイト

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映画「サスペリア(1977)」のあらすじ・感想レビュー:ダリオ・アルジェント傑作にして最も美しいホラー!

「サスペリア(1977)」の映画情報

サスペリア上映日:2019年06月29日
製作国:イタリア
上映時間:99分
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STORY

バレリーナを目指すスージーはアメリカからドイツのバレエ学校に留学するが、到着早々、奇妙な出来事が次々と起こる。さらに、天井から大量のうじ虫が落ちてきたり、盲目のピアニストが盲導犬に噛み殺されたりと不可解な事件が続発。やがて、この学校に隠された恐ろしい秘密が明らかになり…。

TRAILER

REVIEW

ホラー映画が大好きなのですが、これまで数あるホラー映画を観てきた中でも、最も美しいホラーといえるでしょう。ちなみに、好きな映画なので何度も何度も観ておりBlu-Rayで見事なまでに修復された綺麗な映像を今見れるのは本当にありがたいことです。映画自体は1977年公開されたのですが、4Kで生まれ変わり再度上映されましたので、上映情報が今年になっています。本作はリメイク版も出ていますあちゃ~な感じの仕上がり。

後に製作された『インフェルノ』、『サスペリア・テルザ 最後の魔女』とあわせて「魔女3部作」といわれる第1作目にあたります。イタリアを代表するホラー映画監督、ダリオ・アルジェントの地位を確固たるものにした映画でもあります。

この映画は芸術なのです!

視覚と聴覚を見事なまでに圧倒させてくれ、芸術度で見ると今だに本作を越える映画は出てきていないと思っても過言ではありません。血の赤をベースに青色・黄色・緑色と原色の光と建物の原色の色彩、そしてアルジェント監督作品ではつきものの、"ゴブリン"の人間の感覚に直接襲い掛かるような音楽とのコラボレーションは、すばらし過ぎます。

「決して一人では観ないで下さい」というキャッチフレーズで当時は宣伝をしていたのですが、残酷描写はこの時代としてはかなりショッキングなものだったでしょう。冒頭での首吊り&顔にガラスの破片が刺さっているシーンはいきなり最高潮で、緊迫感をさらに掻き立て追い討ちをかける見事なカメラワークも醍醐味です。この時代ならではの恐怖を表現する技法ですね。

歴史あるバレエ学校を舞台にして繰り広げられる、"魔女"がテーマのストーリーですが、よーくよく真剣に考えると、かなり辻褄が合わないし強引すぎな展開と結局何が言いたかったのだろうか???と分からなくなるような作品なんですが(まぁ、アルジェント監督作品は大体そうなんですが)、映画を観ていると不思議と辻褄合わないことなんて感じさせられることなく虜になりのめり込んでしまします。そして、ラストシーンで明かされる衝撃の真相では、一気にテンション上がり最後の最後まで結末がどうなるかも読めないのです。

さらに本作なんといっても、花を添えるジェシカ・ハーパーの存在です。非常にかわいらしいですね。彼女をずっと見ていても飽きません。(といっても、今はおばさんになってしまいましたが…)芸術的なホラー作品にぴったりの配役だったと思います。

芸術ホラーとして名をとどろかせる名作。すばらしいの一言に尽きます。

だいふく

大好きなホラー映画の1つ!お勧めニャ!

【おまけ】

サスペリアと言えばもう一つ話題になっていることがあります。今だに心霊番組で取り上げられることもありますが、雷光に照らされた瞬間に、タクシー運転手の首元に叫ぶような男の顔が映る瞬間があり心霊だっと言われていますが、実はこれはアルジェント監督のの茶目っ気あるいたずらで、監督本人ですので、騙されないように(爆)

問題のシーン、YouTubeにありました。3:20くらいのタクシードライバーの首当たりです。いたずらと分かっていても、結構怖い!

INFORMATION

英題 Suspiria
製作年 1977
監督 ダリオ・アルジェント
製作 クラウディオ・アルジェント
出演者 ジェシカ・ハーパー
ステファニア・カッシーニ
ジョーン・ベネット
アリダ・バリ
フラビオ・ブッチ
ウド・キア
配給 ハピネット
受賞歴 インディペンデント・スピリット賞 撮影賞
リンク -

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映画「スマホを落としただけなのに」感想・レビュー:私のすべてが壊されていく…

 

スマホを落としただけなのに

スマホを落としただけなのに

「スマホを落としただけなのに」映画情報

オンライン鑑賞

Prime Video Rakuten TV

※時期により鑑賞できない場合あり。

あらすじ

いつものように彼氏に電話をかけた麻美は、スマホから聞こえるまったく聞き覚えのない男の声に言葉を失うが、声の主はたまたま落ちていた彼氏のスマホを拾った人物だった。彼氏が落としたスマホが無事に戻ってきたことに一安心する麻美だったが、その日から麻美の日常は一変する。まったく身に覚えのないクレジットカードの請求、それほど親しくない友だちからの執拗な連絡……それらは麻美のさまざまな個人情報が彼氏のスマホからの流出を疑う事象の数々だった。一方その頃、ある山中で若い女性の遺体が次々と発見される事件が起こる。すべての遺体には、いずれも長い黒髪が切り取られているという共通点があり……。

出典:映画.com

予告編

作品データ

原題 スマホを落としただけなのに
製作年 2019年
製作国 日本
上映時間 116分
監督 中田秀夫
脚本 大石哲也
メインキャスト 北川景子
千葉雄大
成田凌
田中圭
受賞歴 ・日本アカデミー賞新人俳優賞


 

「スマホを落としただけなのに」映画解説

だいふく

現実でもあり得そうなスマホを落とすことによる恐怖を描いた作品ニャ!

作品解説

原作は、志駕晃の同名ミステリー小説になります。その後、マンガとして連載しており、記事を書いている2020年11月時点でも続刊されています。映画は、マンガかスタートの同年に公開され、公開から3週間で累計動員107万人、興行収入14億円を記録しました。

映画の監督は、『リング』の中田秀夫監督がメガホンを取り、北川景子をヒロインとして迎えた作品ですが、成田凌の怪演が目立ち評価され、第42回 日本アカデミー賞にて新人俳優賞を受賞し、一躍俳優として有名となりました。

関連作品

【続編】

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

「スマホを落としただけなのに」感想・レビュー

このご時世スマホ頼りとなり何でもできる世の中になり、スマホが傍にない時の不安感は半端ない気持ちに皆さんもなるかと思います。もしスマホを無くしてしまったら…と言う心理も含めうまく映画にした作品でした。

彼氏がスマホを落としてしまったばかりに、結果振り回されてしまう稲葉麻美(北川景子)が何とも可哀そうになります。SNS乗っ取りられた挙句のパスワードロックからの写真バラマキなんかは、自分に置き換えてみるとぞっとしますよね。

さらに他人なりすましやクレカ情報抜き取りの手段も現実でもあり得ると思うので、身近な犯罪としての恐怖を覚えました。改めてネットでの個人情報やカード情報の扱いは気を付けなきゃと引き締まる思いでしたが、そういった意味では、良い教訓にもなる映画でもあります。

 

ただ、テーマは良かったのですが映画としては何とも普通ってのが正直な感想です。監督は、あの日本最恐ホラー「リング」の中田秀夫ですから鑑賞前は非常に期待しましたが、年齢制限なんかも気にしたのでしょうか?恐ろしさの要素が全くないのです。もちろんホラー映画ではないですが、もう少し犯罪映画としては犯人の異常性を引き立たせてくれる恐怖を出してくれたら面白かったと思いましたが。

しまいには、中盤からの急展開となりますが、犯人がすぐわかってしまうんです。登場人物的にはこの人しかいないでしょ!っとなってしまい、ホラー要素でもサスペンス要素でも、少し中途半端な展開であった気がします。

 

そんな中で、特筆すべきはやはり若手男性俳優陣の千葉雄大と成田凌の二人の存在でした。二人の作品は本作を観るまでは、ほとんど観たことなかったんですが、本作では強烈なインパクトを残した演技ではなかったでしょうか。特に成田凌の怪演は見事でした。今後、色々な映画で二人の活躍は期待できますね。

スマホを落としただけなのに

出典:映画.com

 

スマホを落としただけなのに

出典:映画.com

それに対して、いつもながら北川景子の演技がイケてない…。彼女の演技はどこか白々しさが無いですか?特に、本作では男性俳優陣の演技力の影響もあり目立ってしまいましたね。まぁ、彼女は演技力よりはその美貌が武器なわけですから、美しさでヒロイン役をとれるのですから、美貌という才能ともいえましょうか。

スマホを落としただけなのに

出典:映画.com

 

原作と同じく映画でも続編も作られますが、千葉雄大と成田凌の若手2人が中心となっていくので期待はしたいと思います。が、しかし「スマホと落としただけなのに」のタイトル自体が続編で意味を持つのかは気になりますね…。

 

だいふく

千葉雄大さんと成田凌さんに、虜になってしまうニャ~。

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「ミスター・ガラス」のあらすじ・感想レビュー:シャラマン監督版ヒーロ映画!

「ミスター・ガラス」の映画情報

ミスター・ガラス

 製作年:2019年
 製作国:アメリカ
 上映時間:129分
 [Amazon Primeで観る]
 [楽天ブックスで買う]


 

あらすじ

フィラデルフィアのある施設に、特殊な能力を持つ3人の男が集められる。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド、24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン、驚くべきIQの高さと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医ステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明するべく、禁断の研究に手を染めるが…。

予告

映画データ
原題 Glass
監督 M・ナイト・シャマラン
製作 M・ナイト・シャマラン
ジェイソン・ブラム
キャスト ブルース・ウィリス
ジェームズ・マカボイ
サミュエル・L・ジャクソン
アニヤ・テイラー=ジョイ
受賞歴 -

「ミスター・ガラス」感想レビュー

作品について

『シックス・センス』や『サイン』で知られる、奇才ナイト・シャラマン監督作品となり、本作はシリーズ物の映画となります。それは監督作品の『アンブレイカブル』と『スプリット』の2作品を経て本作となりますが、なんと20年もの歳月をかけた完結作品になっています。

ただし、前作品が関連しシリーズ物ってことは、本作をみるまでは全く想像すらできません…。2作目の『スプリット』のラストでようやくシリーズ物ということが軽く触れてますが、全く異質と思われた3つの映画が、20年の歳月をかけて3部作だったということですから驚きです。。これ20年前から企画していたら凄すぎることですが、やはり途中方向転換でしょうか?

新しいヒーロー映画

いや~、率直にとっても面白いと思える作品でした。ナイト・シャラマン版アメコミヒーロ映画でした。アメコミ映画の最高傑作といえる、『アベンジャーズ 』が同時期に上映されていますが、素晴らしいアメコミヒーロー映画と評しこれに匹敵するアメコミ映画は無いと思っていました。

いや、それは違いました!アメコミ映画と思える作品で、こんなにも衝撃を受ける作品が出てこようとは…。しかも、あのナイト・シャラマン監督なんですよ!驚きです。

配給会社が実はディズニーなんですが、何故だろうと鑑賞前は思ったくらい全くどんな映画のジャンルなのか理解してなく観始めた程です。大金をかけなくても、これだけの作品が出来るとは驚きました。久しぶりにナイトシャラマン節が炸裂した、面白く見ごたえある作品でした。

感想

鑑賞中は、まずどんな展開になるのか全く想像つきませんでした。体が壊れない不死身なデヴィッド(善役)、24の人格をもつケヴィン=ビースト(悪役)の戦い映画だろうか?と思っていたら、早々に両者が施設に捕まってしまう始末です。この2人に加え、骨が壊れやすいが天才的IQのミスターガラスがどう彼らに関わってくるのか、重要かつ非常に面白い要素でした。

結局、この映画のテーマは何だったのだろうと考えます。善も悪も関係なく超人達が人間から特異な存在として扱われている、悲しきヒーロー達の姿が見えました。バットマンやX-MEN、そしてウォッチメンにも代表されるように、人間からは変り者として扱われ嫌われる、そんなヒーロー達を描くように。

本作でヒーローは活躍できたのでしょうか?いや全くそうではなかったですね。そうなんです!この映画で、ナイト・シャラマン版描きたかったのは、ヒーローの終わりではなく、ヒーロー達の始まりを描いているようでした。

いや~、シャラマン版アメコミヒーロー映画とくと見せてもらった気がします。今までのアメコミヒーロー映画に喧嘩でも売っているんじゃ?っと思えるほど一線を課した作品で、賛否両論な評価みたいですが、個人的には非常に面白く新しい形のヒーロー映画を見せてもらった気がしています。

監督あなたは、コミックが大好きなんですね!この作品の深さを知れば知るほどそう思う次第でした。

だいふく

20年の歳月をつなげた監督に脱帽だニャ!

「ミスター・ガラス」関連商品

 

 

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映画「羊の木」感想・レビュー:疑うか、信じるか。彼らは全員元殺人犯

 

羊の木

羊の木

「羊の木」映画情報

オンライン鑑賞

Prime Video Rakuten TV

※時期により鑑賞できない場合あり。

あらすじ

寂れた港町・魚深にそれぞれ移住して来た6人の男女。彼らの受け入れを担当することになった市役所職員・月末は、これが過疎問題を解決するために町が身元引受人となって元受刑者を受け入れる、国家の極秘プロジェクトだと知る。月末や町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は明かされなかったが、やがて月末は、6人全員が元殺人犯だという事実を知ってしまう。そんな中、港で起きた死亡事故をきっかけに、町の住人たちと6人の運命が交錯しはじめる。

出典:映画.com

予告編

作品データ

原題 羊の木
製作年 2018年
製作国 日本
上映時間 126分
監督 吉田大八
製作 長澤修一
太田哲夫
脚本 香川まさひと
メインキャスト 錦戸亮
木村文乃
松田龍平
受賞歴 ・釜山映画祭キム・ジソク賞


 

「羊の木」映画解説

だいふく

豪勢な俳優陣が元殺人受刑囚を演じる映画だニャ!

作品解説

第22回釜山国際映画祭(2017年)でキム・ジソク賞を受賞している作品であり、原作は、日本の漫画です。映画では6人の殺人者を描いていますが、実際漫画では11人の凶悪犯罪者(殺人者ではない)となり、設定も含めて映画では結構改変も加えられています。

気になるのは映画タイトルの「羊の木」ですが、かつて中央アジアにスキタイという街があり、本作でも絵が登場する"羊が実る木"があるといわれており、そこから決めたと監督は言っています。しかしながら、映画の中ではほとんど絵に関して言及されておらず、完全に意味不明で終わりますので、タイトルの意味を映画に期待はできません。

登場する犯罪者

本作の見どころは、なんといっても個性的な犯罪者を演じる豪勢な俳優たちでしょう。一人一人が強烈な過去を持っているので、そんな登場人物の犯罪歴と演じる役者をまとめてみました。()が俳優名です。

6名の犯罪歴

1.宮腰一郎(松田龍平):因縁をつけられ逆上し傷害致死
2.栗本清美(市川実日子):DVの酒乱彼氏を殺害
3.太田理江子(優香):夫とセックス中に勢い余り絞殺
4.福元宏喜(水澤紳吾):働いている理髪店の店主を殺害
5.杉山勝志(北村一輝):傷害致死
6.大野克美(田中泯):暴力団関係で殺人

これだけの殺人者が"新仮釈放制度"として一同に小さな田舎町に訪れるのですから、もちろんなじむ者、なじめない者がいますし、結局何かしら事件をやらかしてしまう者もいます。

 

理髪店に就職した福元とクリーニング屋の大野は街になじんだ派だったでしょう。事件は起こりましたが、両者とも、この映画の暗いテーマの中では、割とほのぼのとした物語の展開で良かったです。

反して太田と栗本の女性陣2人は、おかしな方向にいってしまった組でしょう。二人とも一生懸命ですが、かなり違和感が残る展開を繰り広げます。

そして、悪のままであったのが、杉山と宮越の二人です。杉山は根っからの悪ですが単純で分かりやすいのですが、宮越は完全に根っからのやばい人間オーラがひしひしと出ていました。

羊の木

出典:映画.com

「羊の木」感想・レビュー

これだけの豪華な俳優陣が演じる個性的な登場人物なのに、残念なことに活かしきれていない気がしました。前半で犯罪者6人の話が進んでいくときは、非常に興味深かったのですが、後半は、ほとんどが犯罪者の一人宮腰と市役所職員の月末の話だけになってしまい、他の犯罪者が余りにもあっさり描きすぎてもったいなく感じます。

この6人それぞれを描くには、完全に尺が足らず薄っぺらさを感じずにはいられません。宮越以外の人間ドラマの部分をもっと描いてくれていれば、面白い映画になっただろうにと思います。月末と犯罪者の関係性がなかなか面白く、月末のキャラのおかげで、6人それぞれの個性が引き出ていた分、残念でした。

さらに、月末と同級生だった木村文乃演じる石田との関係性もなんだか中途半端な描き方だった印象です。結局好き同士なのかどうかもわからなく終わり、もうちょっと繊細に描いてほしかった印象です。

 

さらにとどめがラストです。観終わった時の感想は、、、

ん?ん?ありえないんですけど…。

 

何故か人間ドラマから一気にカルト映画のような流れになってしまい、一気にチープな映画に思えてしょうがないのです。前半の人間ドラマ感が良かっただけに、本当に残念な展開でした。

おそらく漫画でなら面白かったんでしょうが、ここまで真面目なヒューマンサスペンス感満載の映画だったのに、実写で現実味に欠けるものを描かれると白けてしまいました。

 

全体的に見ると、ラストシーンはともかく、殺人犯の罪の事情もそれぞれ、刑期を終えた後も改心する人、悪のままの人でそれぞれというテーマは、なかなか考えさせられるものがありそういった意味では面白かったです。"新仮釈放制度"が割と現実でもありえそうなのが怖いですよね…。

だいふく

ラストは何とかできなかったのかニャ~!

「羊の木」関連商品

 

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