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映画「ピアッシング」のあらすじ・感想レビュー:村上龍の原作衝撃の実写化!

「ピアッシング」映画情報

ピアッシング 製作年:2018年
 製作国:アメリカ
 上映時間:81分
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あらすじ

自身の幼い娘をアイスピックで刺したいという衝動に駆られていた男はその衝動を抑えるため、ホテルに呼び出したSM嬢を殺害する計画を立てる。しかし、計画は男の思惑通りには運ばず、ホテルの部屋に到着した女はいきなり自分自身の体を傷つけて倒れこんでしまう。殺人衝動を持つ男と自殺願望を持つ女。奇妙な磁場に吸い寄せられるかのように出会うこととなった男女の悪夢のようなシュールな一夜が幕を開ける。

予告

映画データ

原題 Piercing
監督 ニコラス・ペッシェ
製作 ジョシュ・モンド
アントニオ・カンポス
キャスト クリストファー・アボット
ミア・ワシコウスカ
受賞歴 -

「ピアッシング」感想レビュー

作品について

村上龍の同名小説の映画化で、2020年公開予定のハリウッド版「呪怨」リブートも手掛ける、ニコラス・ペッシェ監督作品となります。アイスピックで人を殺したい男、自殺願望を持つ女が偶然にも出会い、お互いの希望が少しずつずれながらも、交錯していく一夜を描いています。

監督は日本好きなのでしょうか!?映画には、日本のアート作品がたくさん登場します。例えば、写真家・荒木経惟の「若い芸者がスイカを食べている写真」が飾られています。これは監督が作品がもつシンボリズムやイメージに惹かれ、セクシャルでフェティッシュなものを日常の中に見せるという手法が『ピアッシング』のテイストにも合うとも語っています。

映画の色彩にもこだわっているようで、「シーンごとに異なるカラーパレット」を意識して撮影し、1970年代のジャッロ映画(イタリアのホラー・サスペンス映画)の音楽もたくさん使われています。

キャストについて

ミア・ワシコウスカ演じるジャッキーが強烈かつ悪魔のような魅力を持つ女性でした。前髪ぱっつん姿で映画の最初は、イケてない感覚だったのですが、この映画の作風のせいか、中盤から後半にかけて、なにか病的な姿に惹かれてしまうのです。ミアは『アリス・イン・ワンダーランド』のアリス役としても有名ですが、余りにもその役柄の違いは驚きですし、彼女の今後の女優としての幅も広げた作品になったのではないでしょうか?

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そして、アイスピックで人を殺したい男リード役はクリストファー・アボットが演じます。真面目でお人よし、そしておっちょこちょいなサイコ野郎という姿を持つ役ですが、どの姿もすばらしく演じ切ってました。特に、ジャッキーに薬を盛られて幻覚を見ているシーンは迫真の演技ともいえましょう。

総じてこの二人が、すごくこの映画のオカシイ男女にぴったりだったんだなって、映画を観終わった後に思いました。不思議なことに二人が最初に登場した時や映画観ている時はそう思わなかったのですが…。

感想

原作は読んでおらず、完全に予備知識無しで観ましたが、何とも不思議な映画ですが、魅力的に感じてしまう病的な感覚をもった映画でした。

まず、鑑賞していて映画自体がヨーロッパ映画のレトロな作りの印象だなぁっと思いながら鑑賞していました。観終わった後に調べると、前述したように1970年代のイタリア映画を意識していると知って、やっぱり!って思った次第でありました。映像を2分割するようなカット割りといい、途中でこれ本当にハリウッド映画なの!?って疑ってしまったくらいで、見事に監督の描きたかった世界観が表れています。

作風だけでなく、音楽もレトロでとても映画に合っているのです。なんとも不思議な映画なのですが、音楽でさらにその異様さが引き立っています。あとエンドロールの音楽と映像が秀逸でした!

物語自体は、オカシイ男とオカシイ女が出会ったら!?を描いた作品と言った方が早いでしょう。なんとも理解しがたい状況が続いていきます。そして痛いシーンが多いですし、精神がおかしくなってしまいそうな映像も。そんな中でも、この映画コミカルに描かれているシーンも多いのです。病的なノリとちょっと笑ってしまうコミカル要素のギャップが印象的すぎる映画となっています。

そして、2人の不思議な関係が非常に面白いです。果たす目的が少しずつずれているのだが、なぜか惹かれあっている。でも決して愛し合う事なく付かず離れずな距離感を保ちつつ、お互いの目的を達成しようとするが、やっぱり噛み合わないといった具合です。なんでだろう、この二人のやり取りは正直きついシーンが多いのですが、もっと観ていたいって思う自分がいます。

そういう理由もあり、ラストの終わり方は非常にもったいなく感じます。恐らく観る人の大半は、「え!ここで終わるの!?」と感じるでしょう。この後の二人がどうなるかが気になってしょうがないです。

原作を読んでないため、疑問に思うところも多かったので、是非小説で読んで、この映画を補完したいと思います。

だいふく

欲求不満な終わり方だにゃ~!

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