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映画「Girl ガール」のあらすじ・感想レビュー:トランスジェンダー少女の青春と痛み!

「Girl ガール」映画情報

Girl ガール 製作年:2018年
 製作国:ベルギー
 上映時間:105分
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あらすじ

男性の体にうまれたトランスジェンダーのララは、バレリーナになることが夢で、強い意志と才能、そして血がにじむような努力で、難関とされるバレエ学校への入学を認められる。しかし、成長とともに変わっていく体によってうまく踊れなくなることへの焦りや、ララに対するクラスメイトの嫉妬や嫌がらせにより、次第に心身ともに追い込まれていく。

予告
映画データ
原題 Girl
監督 ルーカス・ドン
製作 ディルク・インペンス
主なキャスト ビクトール・ポルスター
アリエ・ワルトアルテ
受賞歴 ・ゴールデングローブ賞最優秀外国映画賞
・カンヌ国際映画祭カメラドール
・カンヌ国際映画祭ある視点部門
・カンヌ国際映画祭最優秀俳優賞


 

「Girl ガール」感想レビュー

管理人

今回は、トランスジェンダーいわゆる性同一性障害の主人公の青春時代の苦悩や痛みを描いた映画を紹介します。

だいふく

こういう映画を機に理解が深まるといいニャ!

作品について

ベルギーの新聞にトランスジェンダーの少女がバレリーナになるための葛藤を描いた記事が掲載され、その記事を見た当時18歳であったルーカス・ドン監督が、9年間を費やし、完成させた映画です。

主演のララを、バレエ・スクールに通うトップダンサーのビクトール・ポルスター(男性)が演じていますが、役柄の設定とは異なりシスジェンダー(肉体の性と性同一性が一致している人)なのですが、トランスジェンダーとしての苦悩や葛藤を見事に演じ切り、映画初出演にもかかわらず、第71回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、最優秀俳優賞を受賞しています。

ちなみに、シスジェンダーという言葉は違和感があるかと思いますが、トランスジェンダー(主に性自認と身体的性が一致していない人)の対義語として生まれました。トランスジェンダーという言葉だけだと「こころとからだの性が同じ=当たり前、トランス=普通でない」と区別されるのを避けたようです。

本作では、男性性器を赤裸々に映像を映し出すシーンがあります。もちろん映倫審査は通っています。PG12(親または保護者の助言があれば12歳未満の方でも鑑賞)という制限は付いてはいますが、もし男性性器にモザイクを入れてしまったら作品として成り立っていませんでした。過去には『ぼくのエリ 200歳の少女』という映画で重要な意味を持つ性器の描写を、入れてはいけないモザイクを入れてしまい作品が台無しになった事件もあるため、本作の判断には拍手を送りたいです。

感想

まず語るべきはやはり主演のビクトール・ポルスターの美しさです。彼自身は上述したようにシスジェンダーですが、完全にトランスジェンダー役を演じ切っていました。心はもちろんその綺麗な顔立ちはまるで少女です。男性とは思えない美しさがそこにはあります。

そして、本作はトランスジェンダーとして生まれてしまった少女ララの苦悩が痛々しくも描かれています。心は女性、しかし体は男性という残酷な苦しみ。ララのどうしてもその肉体を変えたいという思いが痛いほど伝わってきます。彼女には男性性器は、完全に不要な異物しかないんですよね…。好きな男性と良い関係になっても逃げるしかない事がどれほど辛いことか。

悲しいかな、その体の成長の変化は、バレリーナを目指し血がにじむような努力をしているララを残酷にも、うまく踊れなくなっていく体へ変化させていきます。ララのその焦りに、さらに追い打ちをかけるようなクラスメイトの嫉妬や嫌がらせは、正直見るに耐えれませんでした。練習で血だらけとなった肉体の痛み、日々追い詰められていく精神的な痛み、すべての痛みをララは感じ過ごしていくのです。

そんな中、父親の理解と愛がララのよりどころで、温かくほっとさせてくれる一面でありました。父の子供に対する愛はララを女性の身体へ変化させようとする一番の理解者であることが救われました。どんなに苦難があっても家族愛はあふれていました。

だからこそ、ラストが余りにも痛くて苦しいのです…。

正直、ハッピーエンドではないと思います。しかしバットエンドでもないと思います。でもね、ラストシーン、そこには美しい一人の女性が確かにいました。

だいふく

鑑賞している側も心が痛くなったニャ…

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