「CLIMAX クライマックス」映画情報
製作年:2018年
製作国:フランス
上映時間:97分
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あらすじ
1996年のある夜、人里離れた建物に集まった22人のダンサーたち。有名振付家の呼びかけで選ばれた彼らは、アメリカ公演のための最終リハーサルをおこなっていた。激しいリハーサルを終えて、ダンサーたちの打ち上げパーティがスタートする。大きなボールに注がれたサングリアを浴びるように飲みながら、爆音で流れる音楽に身をゆだねるダンサーたち。しかし、サングリアに何者かが混入したLSDの効果により、ダンサーたちは次第にトランス状態へと堕ちていく。
予告
映画データ
原題 | Climax |
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監督 | ギャスパー・ノエ |
製作 | エドアール・ウェイル バンサン・マラバル |
主なキャスト | ソフィア・ブテラ ローマン・ギレルミック キディ・スマイル |
受賞歴 | ・カンヌ国際映画祭芸術映画賞 |
「CLIMAX クライマックス」感想レビュー

今回は、フランスの鬼才ギャスパー・ノエのカンヌ国際映画祭が動揺した衝撃的な映画を紹介します。非常に人を選ぶ作品につき鑑賞は要注意です。

うぅぅ。。。観るのがこわいニャァ~
作品について
第71回カンヌ国際映画祭の監督週間で世界初上映され芸術映画賞を受賞しましたが、非常に問題作ともいえる作品となっており、ドラッグと酒でトランス状態になったダンサーたちの狂乱の一夜を描いた作となります。
といっても、ギャスパー・ノエ監督となると納得なのですが、監督は常に世界に衝撃を与え観客を挑発し続けるフランスの鬼才ともいわれています。本作は長編映画作品としては5作目になるのですが、初長編映画『カノン』で始まり、問題作『アレックス』と世界に衝撃を与え続けている監督なのです。完全に観る人を選ぶ監督でしょう。
出演者は、ほぼダンサーという映画ですが、セルヴァ役を演じるソフィア・ブテラ以外、すべてプロのダンサーが出演したというこだわりもあり、狂気の中にも見事なダンスパフォーマンスは圧巻と言えます。映画に使われる音楽もダフト・パンクのほか、ザ・ローリング・ストーンズ、セローン、エイフェックス・ツインなどで構成されるこだわりようです。
ジャケット写真の赤色をベースにし、ダンサーが踊っている姿は、まさにサングリアに漬け込まれた果実のようにも思えます。
感想
ギャスパー・ノエ監督作品ですから。もぅ観る前から深呼吸して気合を入れ外に音が漏れないようにしっかり窓を締め、お酒を飲みながら臨みました。お酒は飲みながらじゃないと耐えれる自信がなかったです。
まず、前半~中盤はまだまだまだ余裕がありました。ダンサーたちの見事なパフォーマンスと妙に耳に残るミュージックとの見事な融合、そして赤を主体とした原色で描かれる世界、お酒の酔いが回ったダンサーたちのおバカな会話とひたすら繰り返し見せられます。黒人男性のダンサー子供っぽい(下品ですが)エロトークもなかなかニヤッとさせられました。
が、束の間…。いきなり演者とスタッフなどのエンドロール!?が流れます。はい、わかりましたよ…。エンドロールでなく、ここからが狂気の沙汰の始まりなんですね。「お前らここから始まるが耐えれるのか!?自信が無ければここで終われよ!」と言われている気分でした。
そして中盤~後半に突入。もうね、全員がイカレているんですよ。だって打ち上げと言うはしゃいだパーティーでサングリアを大量に飲んだ上に、サングリアにドラックが大量に入っているんですもんね。ドラックが回った人間の永遠と意味不明な行動や狂気の沙汰が流され続けるのです。途中いったい何を観せられているのだろうと正直思いました。そして嘔吐感ですら感じました。まさに地獄絵図とはこのことを言うのだと理解できました。
その中でも監督の鬼才っぷりといいますか監督としての技術も見え隠れしました。全編を通し長まわし撮影(演者は大変だろうな)を多用し、人がすれ違いざまにカメラで追う人物を変えたり、しまいには映像を上下さかさま(字幕もさかさま)にするカメラワークを使います。これには嫌悪感が2倍にも3倍にも思えてしまう効果がありました。
それだけでないのですよね。嫌悪スパイスとしては十分すぎるほどの視覚と聴覚の刺激物を投入してきます。前半ではあれだけ見事な色彩感と思っていた色が原色過ぎて気持ち悪く感じられ、鳴り響くパーティーの音楽と共に遠くから聞こえ続ける悲鳴がこれでもかというくらい耳を刺激します。(思わずボリューム下げました…)
がんばって疲弊して観終わった後に何が残るのでしょう。何か心の中にモヤモヤとした感情と共に、ただただ人間が堕ちていく姿にはドラックの怖さは十分に知ることが出来ました。が、ちょっと刺激強すぎて放心状態でした。

人間の狂気は、ホラー映画よりもある意味怖いニャ…
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